【後編】「地域支援なくして対人支援はない」(福)誠美福祉会 幼保連携型認定こども園せいび

 

八王子市

八王子市南大沢駅から徒歩10分のところにある「子育て広場いずみ」(以下、いずみ)は、「ゆるさ」と「らしさ」をコンセプトに掲げ、たくさんの地域の方が集う憩いの場となっています。

地域の方が集い、多様な保育のかたちが生まれることで、子どもたちの暮らしが豊かになり、保育園で働く職員たちへも変化があったといいます。ひろばの活動が、保育という事業へ与えている影響について、(福)社会福祉法人誠美福祉会 幼保連携型認定こども園せいびにお話を伺いました。(前編/後編 全2回の後編)

東京都地域公益活動推進協議会では、2023年夏に「いずみ」の取組みを取材、動画化しています。当時はこの「いずみ」の活動がスタートしてまだ間もないタイミングでした。(過去の動画はコチラから視聴できます。)

 

 

園と交流する人が増えることで、本来の事業も充実していく

折井 真美副園長(左)      折井 誠司園長(右)

 

―――「いずみ」では、コンセプトに「ゆるさ」と「らしさ」を掲げていますね。そこに良さがあると思います。

ゆるい感じしませんか? それが社会福祉法人だなと思いますね。 保育園として、壁を作るのはいくらでもできますけど、子どもと一緒に遊んだり、地域の方に給食の配膳を手伝ってもらうとか、例えば公立の施設ではなかなかやれないと思っています。でもゆるいですから。子どもの地域の方も、楽しそうですよ。「らしさ」はそんなところにあると思います。

 

―――地域の方が園に関わることについて、現場の職員の方の反応はどうでしょうか

前向きにとらえていると思います。地域とのかかわりが始まったばかりのころは、副園長の方から職員に(いずみに)来てよ、来てよと声をかけていました。子どもが「いずみ」に来るだけで、地域の方は喜ぶから来て来てというような声掛けをしていました。

 

開放的な園庭が広がる

 

最初は、「お散歩の時に寄ればいいですか」みたいな感じだった時もありました。 でも「いずみ」で継続的に高齢者の方々が関わっていることをその職員が見て、 ここの地域の方と関わっていくということが、子どもにとっても意味のあるものだと見出してくれたのだと思います。そのうちに、「こどもを連れて行ってもいいですか」と言ってくれる職員が増えました。それから、「子どもたちとこういうことをしたいんですけど、 「いずみ」でやってみてもいいですか」というような声がかかるようになってきましった。

私たちも地域公益活動に取組む際に、 ただ職員に言っただけでは進まないぞという感覚はもちろんあります。ろばの取り組みを通じ、園と交流する人が増えることで、本来の事業も充実していくし、職員自身も成長していくというところをもっと見せたいなと思っているんですよね。 それが活動を続けるモチベーションになると思いますし、法人として、施設を運営していく姿勢も変わっていけばいいなというように思っています。

 

だから職員にも、こちらからこういうことを続けているということは、意図的に伝えないとわからないのだと思います。職員会議の時とか、こちらからできるだけ丁寧に話させてもらうようにはしています。 それはとても大事だと思いますね。

 

 

地域のニーズを拾う大切さ

 

―――ひろばでの取組みが広がり、本来の事業の充実にもつながる。とっても重要なことですね。ひろばでの取組みを続けるにあたり、心掛けていることはどのようなことですか。

ここの子育てひろばを利用している母親から、「ここ何時までですか」って聞かれたことがあるんです。「3時までですよ」とお伝えすると、「4時、5時までやってくれませんか」とおっしゃれました。

今、どんな企業も在宅ワークが増えましたけれど、そのご家庭では、家で在宅ワークしている父親から、子どもが遊ぶ声が「うるさい」といわれてしまい、帰りにくいって言うんです。在宅ワークって、働き方の一つとして肯定的な意見がある一方で、別の苦しさが生まれている気がするんです。子どもが安心できるはずの家から出されている構造がある。そういうものはこのような交流スペースで話を聞かないと理解できない、想像できないものだと思うんです。しかも、その声は一つや二つではないんですよね。

法人の地域活動について真剣に、丁寧に答えていただきました

 

社会や企業の利益のためにやっていることが、場合によっては、子どもたちにしわ寄せがきてしまう。そういった構造は見えにくいんです。地域のニーズを拾う大切さを痛感するエピソードでした。

 

社会の変化が子どもたちに与える影響は大きいですよね。本当は、子どもの支援と地域の支援が結びついていくといいと思っているんです。地域で共に生きていくために、これからは地域支援なくして、対人支援はないです。ここにいるうちの子どもたちだって、 地域と切り離されて生きているわけじゃない。その視野はすごく大事なんです。

地域のニーズをきちんと拾って、保育というサービスに活かしていくことは必要なことです。我々もひろばでの活動を通して知ることや学ぶことがすごく多いですから、それは大事な視点だと思っています。

丁寧にインタビューにお答えいただきありがとうございました!

地域公益推進協のさまざまな取り組み

地域公益活動推進協議会では、食の支援、学習支援、子育て支援など様々な活動を動画化し、YouTubeで発信しています。
取り組みを、ぜひ動画でご覧ください。

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