※当法人は「小平市」と「小金井市」にまたがった施設ですが、本記事では便宜的に「小平市」の記事として扱っています。
社会福祉法人 東京サレジオ学園
小平市
これから地域公益活動に取り組もうとする法人や団体、施設へのヒントを探るため、地域公益活動の取組みを当ホームページで事例公開した法人、団体のその後を取材する企画です。
今回うかがったのは、社会福祉法人東京サレジオ学園。
東京サレジオ学園は1946年に戦争や病気などで家や親を失った子どもたちのためにイタリア人のサレジオ会宣教師タシナリ神父によって始められました。現在、幼児から20歳まで約100名の子どもたちが園舎(家)で生活しています。
<取り扱った地域公益活動事例>
小平市と小金井市の境にある児童養護施設、東京サレジオ学園では地域公益活動として、「子育てひろば」を開催。
近隣の子育て中の親子に遊び場として開放。親子のほっとできる居場所、親御さん同士の交流の場、お子さんの新しい体験の場づくりを目指します。
※公開中の事例ご紹介はこちら
空いた旧園舎を、「地域のために開かれた場所」として

お話をうかがったのは(右から)田村学園長、杉山さん、田村さん
---「子育てひろば」を始めたきっかけを教えてください。
| もともと譲葉舎(ゆずりはのいえ)という高校生が20人くらい住める場所だったのですが、スペースが空いたため何ができるか話し合っていました。
地域のニーズと地域のために開かれた施設としてできることを検討し5年前、2020年に「子育てひろば」を始めました。週に1回、2時間(10~12時)地域の親子に開放しています。 |
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心掛けていることは「育児に対してアドバイスしない」こと

広場には大きな園庭も併設。この日は外で遊ぶ親子も多かった
---「子育てひろば」ではどんなことを行っているのですか?
一般的な児童館のようなところでは体操などのプログラムを用意するところもあると思います。一時期、「じゃあ11時に体操をやろう」って思ったこともありました。ですが、夢中になっている遊びを中断してやるのって子どもは「いやだ~」ってなりますよね。
ここでは開放時間が2時間しかないし、いらっしゃる子どもも0~2歳頃までがほとんどなので、(体操などのプログラムは)必要かな?って思いに至りました。
見ていると、自由に遊んでもらうほうが子どもたちは生き生きとしていたので、それ以来プログラムは行わず、私たちはお母さん、お父さんたちとお話をしながら子どもとも遊ぶ、というスタイルになりました。
---お母さん、お父さんたちとの会話は、子育て相談?
育児に対してアドバイスをしないことを心掛けています。「これがいいよ」とか、「こうするのがいいよ」といった言葉かけはしないように気をつけています。ご家族から出てきた話を聞くことが中心で、子育てが大変だという話が出れば、「そうですよね」と話をお聞きします。支援をするというよりは見守るという感じが強いですね。
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職員の多くも育児を経験しているのですが、子育てを 家で一人でやっていると行き詰まっちゃったりして、だれか大人とお話ししたいなっていうときがあると思います。
だから大人と話すことで、子育てが大変なことをわかってもらったり、一緒に成長を喜んでもらえるような場があるとちょっとした息抜きになるかなって思いながらやってます。 |
親子で楽しんでいただくために、毎週というわけではないのですが『寝相アート』用のセットを出しています。行事やハーフバースデイ・誕生日の記念、発育の節目に合わせて臨機応変にやらせてもらっています。”もうすぐ1歳” と分かれば、「じゃあ次やりますか?」「用意しておきますね」って。記念として撮っていかれる方が多いですね。
---利用者との関係性や、つながりはどのような感じ?
平日の午前中にやっているので子どもが幼稚園や保育園に入るまでの親子がほとんどです。年齢制限はしていないのでまた来たいときには来てね、というスタンスでいます。夏休みのような長期休みの時は、幼稚園に上がった子どもたちも遊びに来てくれますね。時にはお母さんたちだけでお話に来て下さる、なんてこともあります。
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冬になると、クリスマス用のリースづくりをしているのですが、つい先日も広場を利用していたお母さんに、たまたまスーパーでお会いして、
「(リースづくり)今年もやるんですか?」 なんてやり取りがありました。そういう感じで子どもが大きくなった後も、つながりを持てているご家庭もあります。 |
児童養護施設を知っていただくために、「地域に開いていく」ということ
---この学園で暮らす子どもたちにとって「子育てひろば」の意味は?
サレジオ学園(以下、学園)で暮らす幼稚園前の子どもたちは、職員と一緒に「子育てひろば」に来て遊ぶこともあります。そうすることで、学園の子どもたちが幼稚園に入る前に、同年代の地域の子どもたちと一緒に遊ぶ経験ができる場にもなっています。

それから、このひろばに来てくださっているご家族は、学園の子が通う学校の保護者だったりします。いずれ小学校が一緒になる地域の保護者でもあるということです。
そういう方々と前もって顔がつながっていることで、「児童養護施設ってどんなところなんだろ」とか、「学園で育った子どもたちが同級生になったんだ」と私たちを介して理解していただけることもあるかと思います。
大人同士が顔見知りなことで、何となく安心につながったりします。もしも、子ども同士のトラブルが起きてしまった際も、私たちに言っていただけるような関係性を築くことがとても大切だと思っています。そういった意味でも、ここで暮らす子どもたちにとっても、地域の人たちにとっても、「開かれた場所」であるようにと思っています。
ただし、ここは様々な理由で親御さんと離れて暮らす子どもたちがいる児童養護施設ですので、「子育てひろば」にくる親子の姿を見て、学園で暮らしている子どもたちはどう思うのか、「開かれた場所」と同時に、児童養護施設がベースにあるので、その両方を気にしながら進めていくことを常に心掛けています。
---今後について
「子育てひろば」を、ここから更に大きくして拡大して、ということは現時点では考えていません。続けることでもっと地域の皆様に認知してもらって、「子育てひろば」が地域に根差した場所になっていくといいなと思っています。そのためにも長く続けていくことを一番大事にしていきたいなと思っています。

取材にご協力いただき誠にありがとうございました!
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