地域公益活動がきっかけで求人応募や施設利用者が増えた?!(ハーモニー松葉)

 社会福祉法人 博愛会 ハーモニー松葉

稲城市

地域公益活動の取り組み事例発表や当ホームページで事例を公開した法人、団体のその後を取材する企画。どのような反響があったか、活動はその後どのように発展しているのか、これから地域公益活動に取り組もうとする法人や団体、施設へのヒントは?を探るためにお話を伺ってきました。

ハーモニー松葉は東京都稲城市でケアハウス(軽費老人ホーム)、デイサービスを運営する施設です。お話をうかがったのは、社会福祉法人 博愛会「ハーモニー松葉」事務長の山田建さん(取材当時)。

<取り扱った地域公益活動事例>
稲城市矢野口地域で3つの社会福祉法人が連携し、「やのくち子ども食堂」を運営。保育園、高齢者施設、包括支援センターがそれぞれのノウハウを活用しながら月に2回開催。
※公開中の事例ご紹介はこちら

 

「地域公益活動を通じて、求人応募や施設利用者が確実に増えましたね。」

 

---実践発表やホームページで事例公開をしていただきましたがその後、何か反響はありましたか?

(山田氏)自法人のホームページやSNSで実践報告を拡散することで認知が広がったようです。様々な効果があって、「子ども食堂向けに食品などの寄付をしたい」という方や、告知に自治会の掲示板・回覧板を使わせていただけるようになりました。

それから子ども食堂をやる前は採用募集で苦労もあったのですが、最近は応募者もすごいきますね面接の際に聞くと、ホームページとかSNSを見て「ここ、いいかも」ってことで応募してくださるみたいです。

実践発表会での発表は、それまで子ども食堂の目的がなんとなくわからなかった職員の理解も深まりました。発表時の動画などは内部職員の勉強の材料にもなっています。コロナ禍の最中は職員から「地域」という言葉はほとんど出なかったのですが(実践発表会を経た)最近は、地域に開かれていて良い施設だという意見も出始めて、地域からの口コミをもらっていることが大きいと思います。

(画像左)こども食堂の会場となる場所は広さ200㎡。この場所が地域に貢献できる、施設の資源となっています。
(画像右)エントランスを入り、廊下には利用者の方々の作品が展示され日々の活動が伝わってきます。

 

 

---「職員の地域公益活動に対する理解」という言葉がありましたが、子ども食堂を始めるにあたり何か苦労はありましたか?

(山田氏)地域福祉に寄与するという目的は理解しても、いざみんなで話し合うと、どうしてもリスクの話しが中心になりがちです。もちろんいろいろなリスクに対してシュミレーションしておくことは必要ですが、まずは動き出さないと何も始まらなくてだから「3か月、まずはやってみよう」と。

毎月会議があるから、やってダメだったらやめる決定をしよう、ということでスタートしました。実際にスタートするとやはり専門職が多数いるので軌道修正力はすごく高かったと思います。それから3法人での取組みなので自法人だけやめる、とは言い難いことも継続の遠因になっているかもしれません。

 

(画像左)子ども食堂のこれまでの活動がまとまった厚いファイルを見せていただきました。
(画像右)これまでの子ども食堂のご案内告知がぎっしり。毎回のメニューにも工夫が。

(画像左・右)コロナ禍で実施ができなかったときもお弁当を作って配食。お弁当の包み紙には毎回、施設利用者(高齢者)と職員からのメッセージが。会食のように会って話ができないので少しでもつながりを、と考えたものだそう。食を通じ、施設・高齢者・子どもを含む地域の多世代の人たちのつながりが存在しています。

 

 

 

新たなオファで新しい取組みがスタート!「人が人を呼ぶってことなのかもしれないですね。」

 

---地域公益活動の今後の展望について何かあればお聞かせください。

(山田氏)実は、新たなオファがあって、今年の4月からNPO法人との取組みをスタートしています。大学生の代表たちが非課税世帯の子供たち(非課税でない場合は2,000円/月)に放課後、学習教室をやりたいので場所を借りたいという話をもらいました。

最初はお断りしたのですが、社協からも是非ということでお話があったので受けることにしました。子ども食堂を開催する同スペース(200㎡)を毎週金曜日に無償で貸し出しています。17時30分から子どもたちが来て大学生が教えています。

活動を始めたところ、うちの入居者も勉強したいということで一緒に参加しています。資格を取りたいという90代の方もいて、意外な波及効果かもしれません。

 

子ども食堂の会場に掲げられていた額

これもきっかけは子ども食堂をしていることから繋がっています。人が人を呼ぶってことなのかもしれないですねすごいことをやろうとすると答えが見つからないけど、極論を言うと場所を貸すだけでも地域貢献だな、と考ることでちょっと気が楽になりましたね。

うちのような小さな規模の施設でもほかの法人と連携して比較的簡単にできるってことが伝わることで、もっと多くの法人が取り組めるようになるといいね、と法人内では話しています。

 

取材にご協力いただき誠にありがとうございました!