最低人数は1人、時間も1時間、「簡単にできることを始めるのがとっても大事だと思います」 (特別養護老人ホーム今井苑)

 社会福祉法人 青芳会 特別養護老人ホーム今井苑

青梅市

特別養護老人ホーム今井苑では、コロナ渦以前から地域の高齢者向けに介護教室や介護相談の取組みを行っていました。しかし、感染症の影響から中止となり、新たな取組みを考えます。

そんな時に、施設職員からの声をきっかけに、今井苑では月に一度、青梅インター付近のごみ拾いの活動を、地域のボランティアとともに続けています。今回は清掃活動を続けることで見えてきた活動の反響を中心に、施設の職員、働き方にどのような変化があったのかお聞きしました。

つながりがなくなった危機感「できる範囲でやっていこう」

日頃から職員からの話を聞く中で、高速道路付近のごみ投棄が気になるという声が上がっていました。青梅の玄関口なので、きれいな方がいいよねという気持ちもありました。それに、ごみがあふれていると治安が悪く感じますよね。コロナ渦に地域とのつながりができなくなったこともあり、施設の地域公益活動としてできる範囲でやっていこうという気持ちから取組みが始まりました。

現在は月に一度無理のない範囲で午前中の10時~11時の時間帯で行っています。コロナ前は私たちが講師となって、介護予防に関する教室を行っていましたけど、それとはまったく別のこともやっていくのは面白いかなと思って。

 

自治会で資源回収の役割があり、法人でも軽トラックを出して、一つの回収ルートを担っています。これも月一度なのですが、法人としても三~四年続けています。自治会の方とのつながりも強くなりました。

この地域でも自治会の加入率が大幅に下がっています。そのような部分で、今井苑が自治会の一員として活動して地域に貢献できたらなと思っています。社会福祉法人が自治会と一員として役割を担っていける可能性があると感じることはあります。

地域住民から愛させる施設であることは目指したいですね。

 

---東京都地域公益活動推進協議会のホームページにもご寄稿をいただいています。ご寄稿のきっかけと反響はいかがでしょうか

もともと施設のブログを更新していましたので、その延長線として我々の活動を外に知ってもらいたいという気持ちから投稿をしてみました。ブログの更新はこの清掃活動を始める三~四年前から始めています。ボランティアさん、地域の方も参加していますので、その様子もお伝えしてきました。

理事会などでも素晴らしいことだと評価を受けたこともあります。続けることの大変さを理解してそのようなメッセージをいただいたのだと思います。また、その内容を見た方から、こちらで働きたいと採用につながったこともあります。

 

---地域公益活動の継続が採用の拡大につながることがあるのですね。

続けてきた地道な活動が法人のイメージにもつながっていると思います。職員の離職率もだいぶ減ってきています。地域にも目を向けていることが誇らしいと思ってくれているのだと思います。

それから、新規の利用者の入居にもつながっていると思います。地域の取組みをしている施設なら安心だねと思われているといいですね利用者さんのご家族にとっては安心できる要因につながっているのだと思います。

 

―――地域に対する活動を続けてきたことで、施設で働く職員や法人全体、あるいは本来事業への良い影響などはありましたか

例えば新入職員が入ったタイミングで、指導・新人育成の一環として、清掃の取り組みに参加してもらってもいます。法人として地域公益活動に取り組むことは責務なのだということも、その場で伝えています。そのときには、「なんでごみ拾いをするの?」というような意見は出てこないですね。

清掃活動にたくさんの職員に関わってほしい気持ちはもちろんあります。ですが、第一優先は利用者の生活なので。細く長く続けられるように、最低人数も決めていません。

公益的な活動を続けることで、法人のブランド力を上げていくきっかけにもなると思います。清掃活動について以前に市長から表彰を受けたことがあります。地域の方に清掃活動が評価され、表彰に結びついたので、そういったことはモチベーションにもつながりますよね。

 

メッセージ「やればできるじゃないかという成功体験が次につながる」

わたしたちの活動の最低人数は一人ですし。一時間の活動です。簡単にできることを始めるのがとっても大事だと思います。

まずは行動していくことが大切だと思います。やればできるじゃないかという成功体験が次につながっていくのだと思います。

地域(今井苑周辺)のほかの法人のことを考えても、もしかしたらきっかけがなくて、取組みを始めることが難しいだけなのかと思います。清掃活動も資源ごみの回収も、自分たちのみでやる必要は無いので、一緒にできればいいかなと思っています。